「マルチコアCPU」に先立って、Intelは「ハイパー・スレッディング」機能を搭載した新型のPentium4を市場に送り出した。CPUはいかに命令を詰め込むかが重要なのだが、どうやっても処理が空いた回路は存在する。「ハイパー・スレッディング」はこの空いた部分をまとめて利用し、もう一つの新たな見せ掛けのコアを構成することで、擬似的にCPUが2つあるかのように振舞うシステムである。もちろん“擬似的な”デュアルコアであるため性能は良くて3割り増し程度だったが、効果的ではあった。
そしてIntelは「Pentium D」でついに物理的なデュアルコアを実現させた。中身はPentium4系列のコアがほぼそのまま2つ、である。2個内蔵だからといって発熱を2倍にするわけにはいかないので、クロックはPentium4よりやや下がっている。結果、割り振りが不可能な処理に関しては旧製品より遅い場合すらある。しかもPentium Dは、それぞれのコアが相互に通信する場合、情報一旦CPUの外に出てからまた戻ってくるというロスの大きい経路を通る(コア① → L1キャッシュ① → L2キャッシュ① → 外部回路 → 外部チップ → 外部回路 → L2キャッシュ② → L2キャッシュ② → コア② と、非効率極まりない。)。各コアの高い性能によって目立たないが、情報の共有が苦手なのだ。
一方AMDは、「Athlon64 X2」なる製品をわずかに遅れて投入する。基となる「Athlon64」(の周辺技術)は将来のマルチコア化を見越して設計されており、Pentium Dと比べてスマートな配線でデュアルコア化を実現した。(コア① → L1キャッシュ① → L2キャッシュ① → L2キャッシュ② → L1キャッシュ② → コア②)
その後しばらくの間は、状況によって頻繁に攻守が入れ替わりながらもAMD勢が極わずかな差でIntel勢を上回る性能を発揮することとなる。

コア①→ とかもうね。どんなけ頭悪いんだと自分でも思うよ。