パソコンの静音化には2つの方法がある。

  1. 音を出さないようにする
  2. 音を聞こえないようにする

の二つだ。
前者を目的とした主な方法は「ファンレス」。字のごとく「空冷ファンを用いない」こと。ファンはPCでもっとも大きな騒音源であるため、以下にこれを排除するかを考えるのが静音化に一番の近道だ。CPUクーラーを巨大ヒートシンクに交換してファンを取っ払ったり、容量は大きくないが電源もファンレス化できる。非常に大きい制限を受けるが、ケースそのものを大きなヒートシンクとすることでファンレスを実現するものもある。ただしこのようなケースは特殊なもので、一般にはすべてのファンを取り除くべきではない。ヒートシンクは熱を放出する効率を上げるためのもので、発生する熱を抑えるものではない。CPUクーラーはPC全体で見れば「熱源」であり、その熱源で暖められた空気をどうにかしてケース外に放出する必要がある。最小限のファンですむ、すなわちすでに存在するファンで喚起を行う方法を考えるべきである。それにはファンレスではない静音電源を使う方法が現実的だ。基本的に電源はケース内の空気を排気しており、そしてCPUの直上に位置する。また、構造上大きなファンを用いやすい(大口径ファンを用いる利点は後述)ので、電源ファンを最大限活用することでかなりの静穏化が見込める。ただし、この「最大限活用する」ことは簡単ではない。ファン一つでケース内の熱気すべてを排出するには、ケース内の空気の流れ、「エアフロー」を考える必要がある。熱源はCPUだけではなく、主なものだけでも他に「チップセット」「ビデオカード」「HDD」「メモリ」が挙げられ(そもそも通電する部位はすべて発熱する)、それらの廃熱もケース外に排気する必要がある。ケーブルをまとめ、背面ファン用スリットやパッシブダクトをあえて塞ぐなどの工夫が要るが、それだけでは空気は流れない。ケース内の空気すべてを動かすにはそれなりの風量が必要で、これを確保するたにも電源には大口径ファンが用いられている。ファンは大きくなるほど少ない回転数で風量を確保できる上に、発生する音が低周波になるため騒音が人間の耳に聞こえにくい(「音を聞こえないようにする」方法の一つ)。しかし逆に大きなファンほど(回転数を上げる必要がないので)静圧が低くなるため、エアフローを生み出す力がない場合がある。吸気側にファンをつければ風量は解決するが、今度はエアフローが限定される可能性がでてくる。具体的には、HDDを吸気、電源を排気にすると、ファンレスビデオカードの廃熱が流れない。
エアフローに関する問題としては水冷も挙げられる。水冷はたいていCPUを対象とするが、マザーボードの中にはCPUファンの排気を電源回路やチップセットの廃熱に利用するものもあり、バランスを欠くケースがある。タワー型ラジエータを用いると前述のとおりエアフローが生まれない。背面排気ファン一体型ラジエータは、静音の効果はやや小さくなるものの全体のエアフローには貢献できるだろう。


途中だけど続きはまた今度。